「羽出すと思へば飛びぬ天道虫」(高浜虚子)…


 「羽出すと思へば飛びぬ天道虫」(高浜虚子)。漢字だと分かりにくいが、「天道虫」とは「テントウムシ」のこと。この名前は太陽に向かって飛ぶことから付けられた。アブラムシなどを食べる益虫として知られている。

 ところが、害虫とされる種類もあるらしい。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』によれば「種類が多く、斑点の数やその色もそれぞれ異なる。草の葉などに留まって、〓まき虫などの害虫を食べる益虫と、『てんとうむしだまし』と呼ばれて斑点が多く作物を害する類とがある」。

 食べるものによって益虫か害虫に分けられるとすれば、虫にとってはたまったものではない。しかし、害虫除去のためにテントウムシを人工的に利用する方法もある。飛べないように羽を接着したり、飛べないテントウムシを作り出したりしているという。

 農薬で駆除することもできるが、それよりも虫を活用した方がいいということなのだろう。それだけ人の口に入る食べ物を作ることは難しいということである。

 スーパーなどで、食品表示を見ると「遺伝子組み換え」と書いてあるものがある。特に、豆腐や納豆などで「遺伝子組み換えではない大豆を使用」と記入されているのを見掛けることがある。

 科学が進歩し、品種改良で種なしの果物などを生産することが可能になった。便利になったと言えばいいが、そこには今後の課題も含んでいることを改めて考える必要がある。