弁護士に代わって司法書士が行える債務整理の…


 弁護士に代わって司法書士が行える債務整理の範囲が争われた訴訟の上告審判決。最高裁は「個別の債権額が140万円を超える場合は裁判外の和解を代理できない」とした。

 「140万円」の解釈が争点になり、日本弁護士連合会(日弁連)側は「債権の総額」と捉え、日本司法書士会連合会は「債務整理で債務者が得る利益」と主張。一、二審で判断が分かれたが、最高裁は日弁連側の解釈を取った。

 今後、140万円超の個別債権については、司法書士が担当できなくなり、その業務範囲は狭まりそうだ。法律業務の分業化という考え方が一般的になっている今日、“時代に逆行する”判断ではなかろうか。

 司法の敷居を低くし、国民に身近になるよう工夫された2000年からの司法制度改革。02年に司法書士法が改正され、取り扱う額が140万円以下であれば、司法書士も簡易裁判所の民事裁判や債務整理ができるようになったのもその一つだった。

 現行の裁判員制度の導入もそうだが、法律業務の分業化を目指し、司法書士、行政書士の職務権限を広げる方向が決まった。同改革は、司法の閉鎖的な体質や、当時度重なった法曹界内部の不祥事で損なわれた信頼の回復が目的だった。

 司法書士、行政書士などが弁護士業務をカバーすれば、国民が司法にアクセスしやすくなるという理由である。今回の最高裁判決はその方向の進展をくじきかねない。