太陽光など再生可能エネルギー(再生エネ)…


 太陽光など再生可能エネルギー(再生エネ)普及促進のため、政府が導入した制度の一つに「固定価格買い取り制度(FIT)」がある。発電した電気を電力会社が買い取る仕組みだ。

 2012年度から始まった制度だが、すでに不都合が生まれている。経済産業省によると、これまでに国が認定した太陽光約185万件のうち、15年度末の時点でその約3分の1、62万件程度が未稼働となっている。

 稼働しないのは、発電せずに権利を転売したり、近い将来あり得る太陽光パネルの値下がりを見込んで、その時に発電して利益を得ようとする業者がいるためだ。先の通常国会では、発電実績のない事業者の認定を取り消せる改正FIT法が成立した。

 当初過熱気味だった太陽光発電への投資も、かくのごとく冷めてきたのか、と情けない。わが国のエネルギー自給率は、先進国で最低レベルの約6%。太陽光発電など再生エネ発電の普及がもたらす最大の便益の一つは自給率の向上だ。

 にもかかわらず、官民とも自給率の低さに対する危機感が欠けているのではないか。日本はかつて「水と安全はタダだと思っている」と他国から揶揄(やゆ)されたが、この問題でも同様の心象を持たれかねない。

 今、中国は原発増設にひた走っている。風力や太陽光など再生エネ発電にも大いに力を入れ、風力による発電量は世界一だ。その投資意欲にはすさまじいものがあり、侮れない。