いまも戦乱の絶えないアフガニスタンは、…


 いまも戦乱の絶えないアフガニスタンは、かつてシルクロードの要衝で「文明の十字路」と呼ばれた。東京・上野の東京国立博物館で開かれている「黄金のアフガニスタン~守りぬかれたシルクロードの秘宝~」展で、それを実感した。

 アレクサンダー大王の遠征後、かつてバクトリアと呼ばれたこの地域にギリシャの植民都市アイ・ハヌムが建設された。そこから出土したヘラクレス像は、ヘレニズムの東漸を雄弁に物語る。

 同展のハイライトは、ウズベク語で「黄金の丘」を意味するティリヤ・テペという遺跡からの出土品。6基の遊牧民の墓が1978年に発見され、見事な黄金の装飾品が出土している。それらは、まばゆく美しいばかりでなく、文明の融合を如実に物語る。

 6号墳に葬られた女性が身に着けていた、縦5センチの小さな黄金のアフロディーテ像は、紛れもないギリシャ神話の女神像。しかし額の中央にはインド式の点が描かれ、背中に翼があり、アジア的な要素が見られる。

 さらに女性の被っていた金製の王冠は、日本の奈良県・藤ノ木古墳や韓国の百済時代とみられる新村里9号墳出土の金銅冠によく似ている。古代日本が韓半島を経由して西域と繋がっていたことが実感でき興味深い。

 これらの貴重な文化財はアフガン内戦の折、博物館関係者が密かに地下金庫に隠して難を逃れたも