核拡散防止条約(NPT)の締約国は191カ国…
核拡散防止条約(NPT)の締約国は191カ国・地域(2015年2月現在)。この条約に基づき、核物質を平和目的だけに利用していることを確認する取り組みは「保障措置」と呼ばれ、国際原子力機関(IAEA)がその役を担っている。
わが国はその活動に積極的に協力し、しかもこの十数年間で、保障措置に携わる人材を、海外33カ国200人以上も育成してきた。彼らの多くは、核物質や原子力施設の防護、核物質輸送時のセキュリティーなど検認活動に従事し、核模擬施設での訓練などを行っている。
わが国は、核物質や放射性物質の管理を強化するための技術開発力も世界でトップクラスだ。例えば、核物質を破壊せずに検知する技術もその一つ。波長がごく短い電磁波・ガンマ線による核物質の非破壊検知システムがそれだ。
核物質がきちんと管理されているかどうか確認するという核査察の目的を果たすのに欠かせないし、ひいては核不拡散のために極めて重要になってくる技術分野だ。“小さな核の応用で大きな核を制す”と言える。
オバマ米大統領が今回広島を訪問することで、広島が核廃絶運動のシンボルの地として、改めて注目される。一方、日本の原子力の平和利用への取り組みは国際的にも広く認められている。
現在力を入れている核セキュリティー政策について、もっと世界にアピールし、核不拡散の実効性向上を期すべきだ。