福島県の郡山市がオランダのブルメン市と…
福島県の郡山市がオランダのブルメン市と姉妹都市提携をしたのは1988年6月だった。ガールスカウトによって市庁舎前庭に植えられた記念樹のシラカシは今、大きく育ち、大きな影をつくっている。
郡山市と同県猪苗代町の“未来を拓いた「一本の水路」”は先月、日本遺産に認定された。これは猪苗代湖から水を引く「安積開拓・安積疏水開削事業」のエピソードや文化財を紹介したもの。
この事業に近代土木技術を使って尽力したのがオランダ人技師ファン・ドールンだった。最初に着手されたのが会津盆地と安積原野の水の流れを調節する「十六橋水門」の建設で、そばにはファン・ドールンの銅像が立っている。
工事最大の難関は奥羽山脈に全長585メートルのトンネルを掘り、安積原野まで一気に水を通すこと。ダイナマイト、蒸気ポンプ、セメントなど最新技術が使われ、全国から多くの技術者が注目した。
事業の成功は新たな産業の発展をもたらすことになった。ブルメン市との姉妹都市提携は、そこがファン・ドールンの故郷だったからだ。以来、両市はホームステイや農業研修などで交流を深めてきた。
そして今回、2020年の東京五輪・パラリンピック開催を契機に、郡山市はオランダのホストタウンに登録された。地元では先日、元オランダ大使東郷和彦氏を講師に記念講演が開かれ、交流に向けての機運が盛り上がった。