原子力規制委員会が昨年11月、廃炉を含めた…
原子力規制委員会が昨年11月、廃炉を含めた運転主体の見直しを勧告していた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について、政府が存続の方針を表明する予定であることを一部の新聞が報じた。事実であれば「もんじゅ」の名誉回復のチャンスである。
日本のようにエネルギー資源に乏しい国では、原子力の力を借りることが必須。現在使用の軽水炉の限界を見極め、核燃料を再利用できる高速増殖炉技術の実用化がぜひとも必要だ。
その役割を担う「もんじゅ」だが、1995年に冷却材の金属ナトリウムが漏洩し火災事故を起こしたのがケチのつき始め。多くの予算を使っていることで外部からの厳しい批判にさらされた。
そのため技術者や職員らが萎縮し、自ら能動的に段取りを決めて作業する習慣を忘れてしまったのだろう。2010年まで運転を停止、同年再開後も事故を起こし再び稼働できなくなった。
かつて福島大学名誉教授の石井澄夫さんは「原発技術者は原子力技術を通して人類文化に貢献するという誇りと使命感をもって業務を遂行できること」と、その資質について話していた。こうした教育が大切だ。
今回、「もんじゅ」存続の方針が明らかになっても、その受け皿をどうするか、難問は依然残る。プロパーの職員を増強し、他の商業炉と同様に新規制基準に素早く対応するという課題をクリアしてほしい。原子力行政の正念場だ。