ゴールデンウイークで、地方や行楽地に向かう…


 ゴールデンウイークで、地方や行楽地に向かう車列をテレビニュースで見ていると、改めて省エネの切り札となる燃料電池の普及が急がれているように思う。

 燃料電池自動車の市販が始まったのは2014年12月で、トヨタ自動車が「ミライ」を発売。この3月にはホンダの「クラリティ・フューエル・セル」が続いた。石炭や石油といった化石燃料に代わる次代のエネルギーとして注目される「水素」を燃料として利用している。

 水素が重用されるのは、従来のエネルギーが持つさまざまな問題をクリアする、理想的なクリーンエネルギーだから。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない、地球に優しいエネルギーだ。

 国の「エネルギー基本計画」(14年に閣議決定)には「“水素社会”の実現に向けたロードマップの策定」が盛り込まれた。水素社会の牽引役である燃料電池自動車の普及促進に力を入れるのもそのためだ。日本は今、実用化の度合いで世界のトップを走っている。

 水素の活用が進めば、省エネ技術の分野で世界のリーダーになれるだけでなく、経済の活性化にも大いに役立つことは間違いなかろう。化石燃料と違い枯渇する心配もない。

 燃料電池技術などの優秀性を生かしつつ、水素社会でのリーダーとなるための今後の課題は、大量の水素の安定的な確保。それには、原子力エネルギーを利用した安全な水素製造の技術開発が望まれる。