東京・板橋区大山の住宅街にある日本拳法…
東京・板橋区大山の住宅街にある日本拳法「四恩会」猪狩元秀道場。経営し指導するのは、道場にその名を冠した元キックボクシングWKAミドル級王者・猪狩元秀さん(65)。
日本拳法の伝承を目指し、5年前に開設した「心身健康増進道場」(猪狩さん)だ。今のところ「強さよりも、人の道を教え、社会に役立てることができるよう、世に出て人のためになる人材を育てていきたい。躾という土台をつくっていきたい」と。
入門者は小中学生が多い。「親御さんが、子供に武道を通じて礼儀作法を身に付けさせようという場合が多いですね。入門すれば、子供も負けたくない思いが出て切磋琢磨する。すると私の教えがどんどん入り前進していく」そうだ。
「四恩会」の「四恩」は天地国土の恩、先祖父母師友の恩、衆生の恩、物の恩。四恩によって生かされていることを知り、感謝するという内容だ。道場は低料金の月謝(板橋区の生徒は1月3000円)で維持されている。
平成25年度のわが国の柔道登録人口は17万人を下回り、その減少が止まらない。ちなみに柔道強国フランスは同年現在56万人。日本で他の武道をたしなむ人数は推して知るべしだ。
日本の柔道はじめ武道弱体化の原因の一つが、こうした“裾野の狭まり”。猪狩さんほどのタイトル保持者でなくても、引退したスポーツ選手らは多かろう。市井の指導者として参加できる道を探りたい。