国土交通省は、土砂災害などの被害を減らす…


 国土交通省は、土砂災害などの被害を減らすため、小中学校の防災教育の手助けをすることになった。2014年に広島市で起きた土砂災害の教訓による決定だが、直近の熊本地震を見ても時宜を得ている。

 事業内容は学校によって異なるが、同省の職員らが生活科や社会科の授業に参加。子供たちが河川と触れ合ったり、洪水被害を防ぐための放水路や排水機場を見学したりするのを指導する。

 従来、社会科で地元産業の現場見学などはあったが、「防災」目的で公共施設を回る積極的な取り組みはなかった。生徒らが災害の発生する仕組みを理解し、具体的に河川の水位など避難に役立つ情報の読み取り方を学ぶという。

 防災の知識を身に付け、身の守り方を習得させることが狙いだが、これを通じて、自分の町をより知るようになるという目的もある。子供たちが地域に誇りを持ち、自信を持つことができれば素晴らしい。

 今、熊本地震の被災地にボランティアが集まってきている。そんな中、現地に足を運べないが、04年の新潟県中越地震で被災した同県長岡市立小国中学校の生徒たちは、「今度は私たちの番。気持ちを込めた恩返しがしたい」と、被災地の中学校へメッセージ付きの飲料水を送ろうと準備を進めている(24日付小紙社会面)。

 一人ひとりが、わが愛すべき町に住み、十分な恩恵を受けて生活しているという充足感がなければ、できない支援行為だ。