世界最強レベルの韓国人棋士、李セドル九段との…


 世界最強レベルの韓国人棋士、李セドル九段との5番勝負を、米グーグル社傘下企業の開発した囲碁ソフト「アルファ碁」が4勝1敗で制した。

 将棋の世界では4年前、コンピューターがプロ棋士を負かしている。しかし囲碁では打ち手の可能性が格段に多く、最善手を探し出すプログラム設定には、この先十数年はかかるとされていた。

 その予測を軽く覆したのは今回、アルファ碁が「深層学習」という人工知能の最新手法を駆使したから。盤面の状況を、複数の並列的な過去の情報に照らして学習を繰り返し、ベストチョイスを出力する優れ物だ。

 アルファ碁の最初の1勝時、韓国紙・東亜日報は「最終的にアルファ碁が勝ったとしても、やはり、ソフトを開発した人間の勝利」と指摘した。妥当な見方だと思うが、人工知能の専門家の間では今、その先を行く問い掛けがある。

 機械には自ら学習し(機械学習)、最適プログラムを生成する能力があるのではないかという命題だ。事実であれば自動プログラミングが可能になる。ただしどこまで人間の知恵を代替するようになるかは、まだ見極める時期ではないという。

 一方、この種の人工知能を使ったロボット製作などで、グーグルが今後、主導権を握り開発に弾みを付けるという意図があり、今回は棋士と機械が巧みに利用されたのではないかとも言われる。やはり人間側の知恵が勝っている?