地震の揺れを吸収して建物の被害を抑える…


 地震の揺れを吸収して建物の被害を抑える免震ゴムの普及が進んでいる。従来、集合住宅や病院、官庁の採用が主だったが、東日本大震災後、工場でも導入されるなど裾野が広がってきた。

 日本免震構造協会のまとめでは、ゴムを中心とする免震構造を採用した建物の建設計画は2011年に147件だったが、13年は290件と倍増。その後も震災前を上回る傾向が続いているようだ。

 免震ゴムは、薄い鉄板とゴムを交互に積み重ねたもので、建物の基礎部分に設置される。縦の振動を吸収し、水平方向の力に対しては自由性が大きいことを利用し、通常の建物と比べ揺れを数分の一に軽減できる。

 5年前の震災時、保冷庫の電気が切れたり、工場のラインが止まって製品供給が途切れたりするなどの事例があった。企業のリスク管理の意識が高まったことが、新たな需要拡大に結び付いている。

 わが国の耐震、免震のノウハウで、免震ゴムが注目されているのは、合成ゴムの品質向上が大きい。ゴムやプラスチック素材は、高分子化学の研究対象でありわが国の得意分野だ。研究者、技術者の層の厚さで他国を引き離している。

 今後の課題は、一般的に60年が目安とされる建物の使用期間に応じた長期耐久性をいかに確保するか。それを克服すれば免震技術で世界をリードできるのではないか。汎用性のあるゴム素材の可能性を探る新たな一歩ということになろう。