「男のくせに」という発言はセクハラだ、…


 「男のくせに」という発言はセクハラ(セクシャルハラスメント=性的いやがらせ)だ、という基準を厚生労働省がこのほど決定した。来年7月から実施される。法律ではないので、逮捕されることはなさそうだ。

 となれば、「男らしさ」も、「男だろう、しっかりしろ!」なども引っかかりそうだ。特に職場では気をつけた方がいい、ということのようだ。

 昔は「女の腐ったような」という言葉もあった。なよなよした男のことをそう言ったのだが、「女が腐る」とはどういうものなのか、イメージしにくかったのは覚えている。が、それもいつの間にか消えてしまった。

 要は「男女」という性別に言及することを避けよう、という主旨のようだ。男女差に注目するのではなく、男女を超えた人間一般に着目することを求めているのだろう。

 が、スポーツの世界では男女差は厳然と存在する。オリンピックの100㍍走で、男女が同時に同じコースを走ることはない。バレーボールで男女混合チームが戦うこともない。そのことを疑問に思う人もいない。

 ノーベル賞、文化勲章、芥川賞などでは、一般に女性の受賞者は少ないが、スポーツのように男女別にはなっていない。女性の年齢を訊ねるのは不作法、とされているが、その種の男女区別を非難する声は少ない。その辺りの事情と、今回の厚生労働省の指針との落差について言及する話も、なぜか聞いたことがない。