東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれて…


 東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれている東京モーターショー。国内市場では若者の車離れが販売低迷の一因となっているため、日本メーカーは車の魅力をアピールしている。

 トヨタ自動車は立ったまま体重移動するなど直感的に操作できる1人乗りのコンセプト車「FV2」を出展。日産自動車は若者向け試作車「IDx」の2車種を展示し、そのうち1車種は座席のデニム素材を取り外し可能として洗濯で好みの色落ちを楽しめるようにした。

 ホンダはハイブリッド車(HV)「NSX」の試作車を出展、高い燃費性能だけでなくスポーツカーのように進化している。確かに、夢とアイデアがぎっしり詰まったモデルで、若者の耳目を集めそうだ。

 しかし、その一方で「はて、そうかなあ、自動車にはもっと素朴なドライブ感覚が求められているのでは……」という思いもぬぐえない。製作側でもかつては、自動車造りに情熱を傾けたいという工学部出身のエンジニアが技術革新を担った。

 ところが社会が豊かになり、いつの間にか車の性能の良さで消費者を呼び込む競争力は低下した。工業デザイナーは常に美しい皮をかぶせることで機械本体が人々に意識されないように腐心さえした。

 中国など新興国は見た目がステータスになるという面もあるが、日本ではそういう時代は過ぎ去ったように思う。車造りの世界も正念場を迎えている。