東京・富岡(江東区)にある富岡八幡宮…


 東京・富岡(江東区)にある富岡八幡宮(深川八幡)は江戸勧進相撲発祥の地として知られ、境内に「横綱力士碑」が建つ。本殿右奥にある重さ五千五百貫(約20㌧)の豪壮な石碑がそれだ。ここに横綱白鵬が自身の名を刻したのは2007(平成19)年のこと。

 その白鵬を九州場所千秋楽で横綱同士の相星決戦で破り、14勝1敗で6度目の優勝を遂げた日馬富士。今年6月6日にここを訪れて「日馬富士公平」を刻した。

 「いろいろ経験していい一年だった」と振り返る今年。横綱2場所目の初場所で全勝優勝したあと、4場所続けて賜杯争いに絡めない不成績で苦しんだが、「僕はこれで終わる相撲取りじゃない」と持ち前の闘志は失わなかった。

 今場所は相撲に切れとスピードが戻り、白鵬の5連覇を阻む5場所ぶりの優勝。今年は最初を飾り、最後を締めくくったことになる。話を横綱碑に戻すと、中央の本体裏に刻まれているのは初代の明石志賀之助から45代若乃花勝治まで。

 追加した石板が右側にあり、その表側は46代朝潮太郎から66代若乃花勝まででいっぱいに。続く裏側には武蔵丸光洋、朝青龍明徳、白鵬翔、70代日馬富士と並ぶが、こちら側はハワイかモンゴル出身の外国人横綱ばかり。

 ここに日本人力士の名がないのはやはり少し寂しい。今場所、両横綱を倒して13勝をあげ準優勝、来年初場所で綱取りに挑む権利をつかんだ大関稀勢の里への期待が膨らむ。