三遊亭小遊三師匠の「蒟蒻問答」を…
三遊亭小遊三師匠の「蒟蒻(こんにゃく)問答」を新宿・末廣亭で聞いた。旅僧に禅問答の“他流試合”をしかけられたにわか住職は、おろおろするばかり。
住職の代役に立ったのがこんにゃく屋の主人。肝が据わっていて、口もきかず耳も聞こえないふりをしていると、旅僧はこれを無言の行(ぎょう)ととり違え、一目散に逃げ出すという筋立ての落語だ。
こちらが弱気を出して旗幟(きし)鮮明にしないとつけ込まれるという世俗の教訓は、「備えあれば憂いなし」の安全保障の分野でも生かす必要がある。わが国は冷戦時代、米韓両国と連携して共産圏に対峙してきた。
ところが最近は、日米韓の足並みがややもすると乱れるようになった。国内でも集団的自衛権や集団安全保障などについて意見がまとまらず、中国の海軍力増強に対して防衛力整備が後手に回った。
しかし、このほど防衛省がまとめた2014年度から約10年間の自衛隊整備計画案では、中国の海洋進出を踏まえ、南西諸島の離島防衛強化を明確に打ち出した。例えば陸上自衛隊に水陸両用団(仮称)を新設するほか、海上自衛隊に小型で高速航行が可能な沿海域戦闘艦(LCS)を配備することに。
レーダーに捉えられにくいステルス機能も持ち、テロ対策から哨戒活動や偵察活動まで幅広い任務をこなせる。ようやく平時の自衛力強化に目覚めてきたということか。来月には新たな防衛大綱が策定されるが、安全保障体制強化に弾みをつけたい。