今年は平成28年。近頃は元号(年号)を使うこと…


 今年は平成28年。近頃は元号(年号)を使うことは以前よりも少なくなったが、しっかりと存続している。日本最初の元号が「大化」であったことは、大化の改新(645年)で知られている。

 教科書などでは「大化が元号の始まり」と書かれているが、大化以後の実態については意外に知られていない。元号はある時期まで、あったりなかったりした。

 645年6月12日に乙巳(いっし)の変と呼ばれるクーデターが起こって、実力者蘇我入鹿が暗殺された。事件以後の一連の流れが大化の改新だが、その過程で、6月19日を以て大化という元号が使われることとなった。

 これが始まりだったのだが、その後白雉(はくち)、朱鳥(しゅちょう)などが断続的に用いられたものの、半世紀にわたって中断された。大宝元(701)年以降は、安定的に使用されつつ今日に至っている。

 「元号の始まりは大化」という教科書的な記述が間違っているわけではないが、必ずしも十分な説明とは言えない。元号は、天皇が領土(空間)だけでなく時間をも支配する、という中国の思想に従って創始されたものだ。しかし領土はともかく、時間の支配は当初はうまく実行できなかったようだ。

 断続はあったが、通算1400年近くの年月にわたって元号は使われてきた。その間、元号を廃止しようという動きはほとんどなかった。日本人にとって元号が、重要な歴史的遺産であることに変わりはない。