成人の日のあった翌週、1月17日にテレビ朝日…
成人の日のあった翌週、1月17日にテレビ朝日で「題名のない音楽会」が放送された。テーマは「二十歳で創った音楽会」。筆者が演奏を聴いたのは昨年12月22日で、東京オペラシティで録画があった。
一般の音楽会と異なるのは、観客にもカメラが向けられ、番組の中で映し出されること。生演奏を聴ける魅力は非常に大きく、放送で編集する際に削除された場面も体験できた。
音楽会を演出するアイデアが面白かった。名作曲家が20歳の時に書いた曲を、同じ20歳の日本人演奏家が弾くという企画だ。最初の曲はショパンの「ピアノ協奏曲第1番」第3楽章。
ショパンがポーランドからウィーンに旅立つ際、告別演奏会が開かれて披露したという曲だ。演奏したのは昨年「ショパン国際ピアノ・コンクール」に出場し、ファイナリストとなった小林愛実さん。
愛らしく初々しい姿とは打って変わって、演奏は自信にあふれ巨匠のように卓越していた。それでも演奏が終わると「ショパンへの驚きと尊敬の念で、自分の未熟さを感じます」とコメント。
もう一人はヴィエニャフスキの「スケルツォ・タランテッラ」OP・16を弾いたバイオリニストの周防亮介さん。超絶技巧の連続する曲を軽々とやって聴衆を驚嘆させた。「20歳でしか感じられないことを音につなげていけたら」と思いを語る。二人には名作曲家という師がいたため、年の取り方も凡庸ではなかったのだろう。