正月早々、東京・世田谷区でコーヒーチェーン店…
正月早々、東京・世田谷区でコーヒーチェーン店の販売した福袋が、転売目的とみられるグループによって買い占められるという騒動が発生した。何時間も並んで待っていた多数の一般客はムダ足となった。
買い占めグループが問題なのは当然だが、何個でも無制限に販売してしまう店舗側の姿勢も疑問だ。同チェーンの他店では、個数制限をしていたところもあったようだから、会社側の危機管理の問題もありそうだ。
この騒動について専門家から「近頃は行列すること自体が目的」との意見も出た。行列が目的ならば、希望の商品を買い占められても困らない、という話になるが、実際はそうでもないだろう。
行列にも福袋にも関心のない人間はたくさんいる。一方、旧ソ連では、パンを買うために寒い中、行列していることがあった。社会主義ソ連がよかった、とは全く思わないが、行列する当時のソ連国民が近頃の日本人よりも真剣だったことは確かだ。
インドの鉄道で、列車に乗るのに大混乱する光景をテレビで見たことがある。並んで乗車すれば互いに便利なのに、と思うが、各地で事情はいろいろだ。平成初頭の日本でも、インドと同様の混乱は稀にあった。
日本の行列も歴史的に形成されたものだ。長時間並んで待った者が優先される、というルールも、経験の中から生み出された。新しいルールができるまで、行列の光景は今後しばらく続くだろう。