天皇陛下がお言葉を述べられる国会開会式を…
天皇陛下がお言葉を述べられる国会開会式を、これまでずっとボイコットしてきた日本共産党が、来年の通常国会から出席するという。志位和夫委員長が、大島理森衆院議長に伝えた。突然の方針転換に、いまなぜの疑問がわく。
志位委員長は「三十数年来の開会式での天皇の発言の内容に、憲法上の問題がなくなっていることを踏まえ」と言うが、取って付けた印象は否めない。
野党各党に提唱した「国民連合政府」構想の妨げとならないように取った一時的ポーズにすぎない。同党綱領は天皇制度について「その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべき」と廃止の道をしっかりと残している。ほとんどの日本人が、天皇と皇室が千代に八千代に栄えることを望んでいるのにだ。
英国労働党は、「ニュー・レーバー」を掲げるブレア党首が1995年、臨時党大会を開いて、党綱領から生産手段の国有化条項を削除した。社会主義政党の看板を大きく塗り替えるものだったが、そこに至るまでブレア党首は地方の党委員会を訪ね、党員たちに議論と説得を繰り返した。
党綱領の改正ではないにしても、共産党の根本に関わる今回の方針転換を前に、そういう議論が党内で行われたという話は聞かない。
党内民主主義の存在しない党が、主権在民や民主主義を唱えれば唱えるほど、その狙いが別のところにあるということは明らかになるのである。