愛知県へ出張の折、同乗した名古屋市の通信…


 愛知県へ出張の折、同乗した名古屋市の通信システム会社社長の地元自慢に聞き入った。愛知万博取材時(2005年)、人々の愛郷心にはつくづく感じるものがあったが、今も健在だ。

 名古屋周辺にいかに先端・ハイテク技術関連の研究施設、企業が多く、技術立国・日本を支えているか――そのことを一つ一つ説明してくれた。最近では国産初の小型ジェット旅客機MRJの飛行成功で脚光を浴びた三菱重工業小牧南工場(愛知県豊山町)がある。

 来年1~3月に打ち上げ予定のH2Aロケット30号機の機体の中心部分は、三菱重工業飛島工場(同飛島村)で完成し、先般報道陣に公開された。岐阜県各務原市では、川崎重工業が自衛隊の次期輸送機C2の製造を手掛けている。

 名古屋市内には、素材の炭素繊維の研究、製造で一頭地を抜く研究所やメーカーが根を張っている。炭素繊維は耐熱性に優れ熱衝撃に強く、汎用性があるため、世界的に開発競争が激しい。

 忘れてならないのは、豊田市のトヨタ自動車。燃料電池自動車の開発、製造で、未来のクルマ社会を先導しようとしている。

 加えて愛知県ぐるみでPRする航空宇宙産業の誘致が進めば、より活性化する。人とモノの移動で、中部圏は賑わいを増すだろう。“地方の時代は名古屋から”と、くだんの社長は言うのである。ただ、空港から名古屋市内への足が他の大都市圏と比べ見劣りするのが玉にきず……とも。