来年3月に日本人初の船長に就任する…


 来年3月に日本人初の船長に就任する若田光一さんが活躍中の国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」では、今回も様々な実験が行われる。

 「無重力」が骨量減少に与える影響を調べるメダカ実験、宇宙放射線の生殖細胞(ES細胞や精子)への影響研究、植物が重力に耐える体作りの仕組み解明などなど。宇宙空間で日本の存在感を示す良い機会だ。

 こうした若田さんら宇宙飛行士の活躍が華々しいだけに、宇宙開発の将来の不透明さが目につく。政府の宇宙開発戦略本部が決めた今後5カ年の「宇宙基本計画」でも、年約400億円の関連予算が必要なISS参加について縮小を含む見直しを迫っている。

 費用対効果の観点で十分な評価が得られないというのがその理由で、宇宙での有人活動も正念場を迎えている。これまで宇宙航空研究開発機構は産業界にISS利用を呼び掛けてきた。

 しかし、米スペースシャトルの事故などでISSの建設が大幅に遅れたこともあり、企業の関心は高いとは言えない。「きぼう」では主に基礎研究が行われ、実用化の見通しは立たない。宇宙という新天地で、産学共同の技術開発ができるチャンスなのに残念だ。

 例えば製薬メーカーが投資し、「きぼう」で画期的な新薬開発のメドが立てば、その利益は莫大なものとなろう。産業界を巻き込んでの利用でISSでの有人活動に弾みがつくはずだが。