インド訪問中の安倍晋三首相は、きょうモディ…
インド訪問中の安倍晋三首相は、きょうモディ首相と首脳会談を行う。会談ではインド西部の高速鉄道計画に日本の新幹線方式を採用することが正式合意される見通しだ。
高速鉄道の輸出では、中国の案を採用したインドネシアに煮え湯を飲まされた。インドでは是非とも計画を実現させてほしい。
インドの鉄道は、英国の植民地時代に建設が始まった。路線の敷かれ方を見れば、生活や産業の振興のためではなく植民地統治と収奪が第一目的だったことが分かるという。ゲージ(線路の幅)がまちまちであることも大きな問題として残った。
紀行作家の故宮脇俊三さんは『インド鉄道紀行』(角川文庫)の中で鉄道マニアらしい観察をしている。首都デリーからカルカッタ(コルカタ)に行く下り特急列車に乗った時、カルカッタに近づくにつれ、距離標(キロポスト)の数字がだんだん減っていくことに気が付く。普通は首都から離れるに従って増えるのが原則という。
これは、この路線が建設された1850年代後半から60年代前半、東インド会社の商館やインド総督府などのあったカルカッタが、インド支配の拠点だったためだろうと宮脇さんは書いている。
安倍政権がインドとの関係強化に力を入れるのは、中国を意識した遠交近攻策という面もある。しかしそれ以前に長年の友好関係がある。インドの大地を走る新幹線は、日印の協力・共栄のシンボルになるに違いない。