久しぶりに東京の国立劇場小劇場で文楽を…


 久しぶりに東京の国立劇場小劇場で文楽を聞いた。平日にもかかわらずほぼ満席で、観客の熱気やわくわく感が伝わってくる。何カ月ぶりかで恋人に会うような雰囲気である。実際、東京での公演チケットは発売から数日で売り切れる。

 先日、関西出張の折、本拠地・大阪の国立文楽劇場で幕見をしたが、東京のような熱気は感じられなかった。もちろん東京よりも年季の入った文楽ファンは遙かに多い。その付き合い方は、長年連れ添った夫婦のようなものか。

 昨日の日経新聞夕刊に、米高級ホテル大手のハイアット・ホテルズが、京都の天龍寺や南禅寺で宿坊サービスを年明けにも始めるという記事が載っていた。富裕な外国人旅行者の取り込みが狙いという。「やられた」と悔しがる日本のホテル経営者もいるに違いない。

 日本人は宗教施設である寺院への遠慮がまず先立つのかもしれない。あるいは慣れ親しみ過ぎて、新鮮な目で見ることができなかったとも言える。

 中央アジアのウズベキスタンには、昔のメドレセ(イスラム神学校)の建物を利用したホテルが結構ある。寄宿学校だから宿泊施設にはもってこいで、近代的なホテルにはない味がある。ソ連時代イスラム教が抑圧された分、独立後に新鮮な発見があったのかもしれない。

 地方創生は、地元の人が気が付かないでいる「宝」を掘り起こすことから始まる。この1年でどれだけの宝が発見されただろう。