「昔より同じ絵模様千歳飴」(川端紀美子)…
「昔より同じ絵模様千歳飴」(川端紀美子)。きょうは七五三。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』には「男子は三歳・五歳、女子は三歳・七歳にあたるものが親に付き添われ、晴着姿で氏神などに参拝して祝う」とある。
気流子も幼い頃神社でお祝いをしたが、記憶にあるのは千歳飴をもらったこと。ふだん食べている飴と違って、千歳飴は長い棒になっている。食べ甲斐があったから覚えていたのだろう。
食べているうちに口の周りが粉まみれになってしまった。当時は現在ほど甘いお菓子がなかったので子供心に嬉しかったが、食べ飽きて途中で止めてしまったことも思い出す。
千歳飴は縁起物で、長いのは長寿を願う親の思いが込められている。昔は子供が早く亡くなることが多く、健やかに育つのは難しかったからである。千歳飴を最初に発売したのは、江戸時代の浅草寺という説もある。
その意味で、七五三の風習は、子供がここまで無事に育ったことへの神仏への感謝が背景にある。だからお参りすることが重要である。だが最近では、お祝いすることが主体となり、ホテルなどでイベント的に行うこともあるようだ。
「髪置の子のあくびして撮られをり」(谷口和子)。それでも、子供の成長は親にとって無条件に嬉しいもの。健やかな笑顔をカメラに収め、末永く幸福を祈る思いでアルバムに残す。親子の絆を深める貴重な伝統行事であることは間違いない。