<兎(うさぎ)も片耳垂るる大暑かな>…
<兎(うさぎ)も片耳垂るる大暑かな> 芥川龍之介。東京の梅雨明けは19日、二十四節気の大暑が明後23日で、いよいよ暑さ盛りの夏を迎える。それでも昨年は梅雨入りと同時に猛暑のダブルパンチで往生したが、今年は梅雨から猛暑へのリレー。
暦では一年で最も暑いとされるのは、大暑から立秋の前日(8月7日)までの2週間ほどとされるが、実際は8月半ば過ぎまでは続く。連日の真夏日(最高気温30度以上)に、夜は眠れない熱帯夜(最低気温25度以上)となる猛暑の夏は6年連続となりそうだが、昨年よりは少しましと思うしかない。
気をつけたいのは各地で死者が報じられている熱中症である。統計ではここ20年の死者は年平均492人にもなり、直近の猛暑元年となる平成22(2010)年には1745人が亡くなっている。
熱中症を防ぐには一にも二にも水分補給である。特に65歳以上の高齢者は暑さに気付く感覚が鈍く、体内の水分量が少なく体温が急上昇しがちだという自覚を持ちたい。
炎天下での仕事や運動だけでなく「(高齢者の)半数以上が自宅など室内で死亡」というデータもあることに注意を払いたい。室内にいても油断はできない。渇きを感じるより先に、1時間ごとに小まめな水分補給をお忘れなく。
節電の呼びかけに遠慮などしないで、エアコンで身体(からだ)を冷やすことも大切である。<炎天を槍(やり)のごとくに涼気すぐ> 飯田蛇笏(だこつ)