台風一過といえば、爽やかな……となるところ…


 台風一過といえば、爽やかな……となるところだが、むしむしと蒸し暑い日が続く。蒸し暑さを好む人はほとんどいない。だが、昆虫大好きの仏文学者・奥本大三郎さんは「暑く不快指数が高いほど虫が沢山居るから嬉しくなる」と『斑猫の宿』で書いている。

 確かにわれわれも子供の頃は、蒸し暑さなど気にならず、トンボを追いかけたり、川で魚を獲ったりしたものだ。奥本さんは、そんな少年の心を今も持ち続けている希有(けう)な大人と言えよう。

 多くの小中学校がきょうから夏休みに入る。子供たちにとっては、海に山に楽しい季節がやって来た。しかし、最近は捕虫網を持って昆虫採集をする子供がめっきり少なくなった。どうやら家の中でスマートフォンやゲームで遊んでいる子が多いらしい。

 これは、日本に限ったことではない。サンデー世界日報のコラム「フランスの街角から」によると、2カ月間の長い夏休み、ヴァカンス先で子供たちが少しでも勉強するようにと、親たちは様々な教材を与え、中にはタブレットで学ぶものもある。しかし、結局スマホをいじる時間が多い。

 自由な時間が多い分、下手をすれば、さらにスマホ漬けになる恐れは十分ある。やはり、じっくり本を読んだり、バーチャルではない本物の自然に直に接するようにしたい。

 要は本物に触れさせること。子供たちにそんな機会を用意し、上手く誘導するのが親の役目だ。