判決は求刑通り懲役22年が言い渡された。…


 判決は求刑通り懲役22年が言い渡された。「酒の影響による危険運転の中で前例を相当上回る重みがあり、ひき逃げまでしている」「単なる油断では説明のつかない著しい注意力の減退や判断力の鈍麻は、酒の影響」と危険運転致死傷罪などの成立を認めた。

 先週の小欄で取り上げた小樽飲酒ひき逃げ事件の裁判員裁判(9日)。札幌地裁の佐伯恒治裁判長は、飲酒運転で4人を死傷させ逃走した32歳の被告について厳しく断罪したのである。

 記者会見した遺族らは「ほっとした。これ以上悲しむ人をつくらないでほしい」と訴えた。「(求刑通りの)判決を聞いてうれしかった」と評価する一方で、なお「平均寿命からすると、娘にはあと58年の人生があった。それ以上は刑務所に入ってほしかった」との思いも残る。

 悪質運転防止には罰則強化の他に有効な手が見当たらない――もどかしさを前回書いた。それでも、重傷を負った女性の母親(60)の「(判決が)娘の心を少しでも癒やしてくれれば」という言葉を聞くと、厳罰が生きる人の心を支える一助になる意義を見いだすのである。

 13日で事件から1年。現場では遺族や多くの人が献花した色とりどりの花が並ぶ。事件の直前に被害女性4人が楽しんでいた海水浴場の協同組合理事長筒井弘子さん(75)らはベゴニアなど計100台のプランターを設置。

 「花を見た人が事故を思い出してほしい」と飲酒運転撲滅を訴える。