日本で7年前に発刊されたセオドア・ゼノフォン…


 日本で7年前に発刊されたセオドア・ゼノフォン・バーバー著『もの思う鳥たち』は知る人ぞ知る衝撃的な書。人間と鳥たちとの感動的な交流のエピソードを紹介している。

 当初、動物好きにはかなり好意的に読まれたようだが、その一方で「鳥の擬人化にはうんざり」という声も根強かったのを思い出す。人間と鳥の交歓の実相は如何?――今回、そのヒントになる発見があった。

 外電によると、クリボウシオーストラリアマルハシという鳥に着目したチューリヒ大学の研究チームは、この鳥が音を組み合わせた鳴き声を発することで、異なる意味を仲間に伝えていることを発見。その研究結果を先月末、米科学誌プロス・バイオロジーに発表した。

 例えば、鳴き声のある音を「A」、別の音を「B」として、「AB」の組み合わせは飛んでいる時、「BAB」は餌を与える時の鳴き声であるといった具合だ。

 従来、鳥が異なる音を組み合わせてさえずる能力は知られていたが、意味を伝えるために発しているとは考えられていなかった。研究は、人間だけが備えているとみられる「言語」能力を鳥が持つことを明かすこととなった。

 この鳥の能力の背景には、それなりの知性や意識の存在もうかがえる。私たちが普段の生活で、小鳥のさえずりを「言葉」ととらえることができれば面白い。他の鳥についても、こうした研究が進むことを期待したいところだ。