激しい火山爆発に続いて立ち上る圧倒的な…


 激しい火山爆発に続いて立ち上る圧倒的な量の黒々とした噴煙。鹿児島県・口永良部島の新岳の噴火映像は、大自然の計り知れない威力をまざまざと見せつけた。これを、近くで体験した島の人々は、どうだったろう。この世の終わりと思ったとしてもおかしくない。

 噴火が起きたのが昨日の午前9時59分。それから7時間半後の午後5時半、住民ら島にいた人々137人全員がフェリーなどで隣の屋久島に避難した。噴火の熱風で男性1人が軽い火傷を負うだけで済んだのは、まさに不幸中の幸いと言っていい。

 島民にはお年寄りの人も少なくない。昨年8月の噴火以来、噴火警戒レベルが3の「入山規制」となっていたこと、大規模噴火の場合どこにどう避難するか心の備えがあったことが大きいようだ。

 昨年の御嶽山噴火、そして最近の箱根山大涌谷、今も噴火をしながら拡大する小笠原諸島の西之島など、地下の異変を感じさせる。火山専門家は、2011年の東日本大震災以降、日本列島とその周辺の火山活動が活発化していると指摘している。

 日本は自然災害が多いと改めて痛感する。しかし、自然が威力を発揮するということは、自然から大きな恵みを受けていることでもある。

 自然が猛威を振るった時の素早い行動、助け合い、団結。日本人が長い歴史を通じて培ってきたものだ。これに科学的な知見とノウハウを合わせれば自然との共生は可能だ。