「間抜け」「間違い」「間が悪い」といった言葉…


 「間抜け」「間違い」「間が悪い」といった言葉がある。「間」という文字が含まれている点で共通するが、いずれも好ましくない状況を物語る。

 適度な「間」が求められているのに、抜けてしまったり、違えてしまったり、タイミングが悪かったりする。人間は常にそのようにできているわけではないが、「間」がうまくとれた方がお互いにいいに決まっている。

 「間合い」という言葉もある。主に人間同士の距離感をいう。空間的な距離については「間合いをとる」、時間に関わる場合は「間合いを計る」という。そんな面倒なことをするのは、「間合い」が適度な方が何かと便利だからだ。

 「間」がうまくとれていないと、重大な結果を招くこともある。そこで、打ち合わせ、下相談、根回し、談合などが行われる。いずれも本来はまっとうな行為なのだが、打ち合わせよりは下相談、下相談よりは根回し、根回しよりは談合の順にイメージが悪くなる。

 談合が犯罪と結び付くケースもある。もっとも辞書でこの言葉の意味を調べてみれば、相談とほぼ同じだ。その上で、いわゆる「談合行為」とも書かれている。

 それでも社会の受け止め方は辞書通りにはいかないようで、「談合=悪」のイメージは根強い。いずれにしても、あらゆる人間の行動パターンの中には、より好ましい「間」を追求したいとの強い願望が潜んでいることだけは間違いなさそうだ。