<敵味方捻れ歪んでゆく世界>。サンデー…


 <敵味方捻れ歪んでゆく世界>。サンデー世界日報最新号の「さんでー川柳」に載った青森県の独酔さんの句である。最近の世界の動き、とりわけ首脳外交を見るにつけ、確かにそうだなと思わされる。

 世界は新冷戦の様相も呈しつつも、宗教、民族、地政学が絡み、簡単に敵味方を分けられなくなっている。また、政経分離の傾向もあって、判断をさらに難しくさせている。

 そんな中、アジアインフラ投資銀行(AIIB)、シルクロード経済圏構想をブチ上げる中国は、これまで関係の良くなかったインドとも協力強化で合意。ロシアとは蜜月時代を演出している。

 しかし、「文藝春秋」6月号に載った田中哲二中央アジア・コーカサス研究所所長の「クリミア編入 プーチンの標的は中国だ」を読むと、表面の動きだけを追っていては本質が見えてこないことを痛感させられる。

 田中氏によると、ロシアのプーチン大統領をクリミア編入という荒仕事に駆り立てた背景には、中国が東ウクライナで進める農地租借とクリミアでの「新深港」の建設計画があった。「中露は本質的に対抗関係にあり、歴史的経緯、地政学的経緯からしても、両国の溝は決して浅くない」というのが田中氏の強調点だ。

 中国のウクライナへの盛んな進出は、小紙記者も認めている。複雑に捻れた世界情勢の中、日本はこれまで以上に、辛抱強く周到に外交の舵(かじ)を取り、手を打っていかねばならない。