福岡高等裁判所で昨日、佐賀大学の女子学生…
福岡高等裁判所で昨日、佐賀大学の女子学生(当時22歳)と両親がゼミ指導教員(准教授)から信仰を蔑む発言を繰り返し受け、世界基督教統一神霊協会や加入しているCARP(原理研究会)からの脱会を執拗に迫られたとして損害賠償を求めた民事訴訟の判決があった(社会面に記事)。
昨年4月の佐賀地裁判決に原・被告双方が控訴した平成26年(ネ)第484号(損害賠償請求控訴事件)。大工強裁判長は、一審判決と同様に佐賀大学に計8万8000円の損害賠償を命じた。
高裁での争点の一つは、准教授の不法行為の認否と大学の賠償責任について。原告側は准教授発言をもとに、大学が教授会で「CARPに入会した学生には脱会を指導するように」指示していたことを指摘。問題の行為は教員の学生指導で起き、大学の指示によるから賠償責任を免れないと訴えた。
一方の大学側は、准教授は統一教会に対する意見などをしたものだとして不法行為を否認。さらに、日ごろから教員に学生のプライバシーに過度に踏み込まぬよう指導・注意してきたとして、大学の賠償責任はないと主張した。
高裁判決は准教授の行為が信仰の自由や名誉感情の侵害に当たり不法行為とした地裁判決を踏襲。大学の教育活動は「公権力の行使」に当たるとして国家賠償法を適用して大学に賠償を命じたのだ。
控訴審でも、教員の問題発言は不法行為とされた判決の重みを熟慮すべきであろう。