川崎市で発生した中学生殺人事件。多摩川…
川崎市で発生した中学生殺人事件。多摩川河川敷の現場に花を手向ける人の数は多い。映像で見る限り、花が山のようになっている。
中には事件と無関係の人もいる。「そんな人間が何でわざわざ現場へやって来るのだろう?」と思っていたが、「関係、無関係」も、いろいろな程度のあることが了解できるようになった。
現場を訪れたおばあさんがテレビ局の取材に答えているのを聞くと、被害者、加害者と同年齢の孫がいてもおかしくないと思えてきた。今回の事件とは直接の関係はないものの、場合によっては孫が被害者にも加害者にもなる可能性があったと推測できる。それだけ人間の想像力を刺激する事件でもあった。
現場を訪れる人の中には、何らかの形で悲惨な事件に関わりたい、参加したいという思いを持った人もいるのだろう。花を供える人の多くは悲劇的な死を遂げた被害者を悼み、慰霊する気持ちがあるに違いない。
犯人の少年の凶悪さ、狡猾さ、冷酷さ、残忍さに戦慄を禁じ得ないのは当然だが、事件関係者の周辺情報があまり多くないことも大いに気になる。
特に、犯人について家庭環境も含めた報道が少ないのは少年事件では毎度のことだ。少年法の縛りがあるのだろうが、物足りない。「事件は起こり、しばらく騒いで、やがて忘れ去られる(そして何も変わらない)」というパターンが今回も繰り返されることになるのだろうか。