3月に入っても住宅火災の記事が目につく。…


 3月に入っても住宅火災の記事が目につく。1日午前4時半頃、大阪府高石市で木造2階建て延べ約80平方メートルが全焼し、焼け跡から3人の遺体が見つかった。72歳と68歳の高齢者夫婦とその家族とみられる(後に他1人死亡)。

 2日朝には、東京都千代田区の25階建ての区営住宅20階の部屋から出火。住人の放火のようだが、3人がけがをした。保育園の園児らが避難するなど、朝のビル街が一時、騒然とした。

 高石市の火災では火の回りが早く、その恐ろしさを改めて知らされた。かつてはどの家庭も「火の用心」を何よりも心掛け、一家の主人が火元を確認するように口を酸っぱくして注意したものだが、今節はあまり見られない。

 耐火性が売り物の住宅が増加し、安心感があるせいかもしれない。しかしその一方で、物が豊富になり、カーペットの類で燃えやすく、有毒性のガスが発生するものが、家内に知らず知らずのうちに増えている。

 また防犯上、施錠が強化され、保温のために密閉空間が多くなっている。火災が発生しても、とっさに外に逃げ出すことが難しくなっている。間仕切りを蹴破って隣室に駆け込むことさえ容易でないケースもある。

 昔は各部屋がふすま一枚で仕切られ、子供の力でも容易に打ち破ることができた。雨戸もしかり。今日は高齢者だけの家庭が増えており、日頃から「まさかの時」を考えた安全対策を取る必要がある。