全国的に気温が上がった昨日は平年の最高気温…


 全国的に気温が上がった昨日は平年の最高気温を10~6度上回り、4月上旬から下旬並みの陽気となった。東京は最高気温19・2度、最低気温6・2度。いつものコートを着ての昼前ウオーキングは15分も歩くと少し汗ばむほど。

 2月は暦の上では春だが、積雪もあり寒さの方がまだ優勢。陰暦の異称「如月」は「草木の更生すること」(『広辞苑』)で、春に向かい草木が芽吹き出す「生更ぎ」の意がある。二十四節気の雨水(19日)と啓蟄(3月6日)の間のこの頃、ようやく春めいてきた。

 近所からいただいた蕗の薹味噌で、ほろ苦い山の春の訪れを味わった。各地の梅便りも高松(1日)、名古屋と銚子(5日)、奈良(11日)、鳥取(16日)、熊谷と津(19日)、広島(23日)と。開花は平年より少しばかり遅いが確かな春の訪れを告げ、偕楽園(水戸)などの梅名所では梅祭りが始まっている。

 梅にはパッと華やかに咲いて、一斉に散る桜のような派手さはない。だが、まだ厳しい寒さが残る早春に春の百花に先がけて凛として上品な紅白の花を咲かせ、馥郁とした高い香気を放つ。

 咲き始めが木によって違い、群れない花一輪一輪がそれぞれ内に秘める個性豊かな気を発しているようである。

 古来、道教では梅は悪鬼から家人を守る強い霊を持つ花と尊ばれてきたという。観梅の季節を静かに楽しみたい。<むめ一輪一りんほどのあたゝかさ>服部嵐雪