東京電力福島第1原発の廃炉作業の進捗状況を…


 東京電力福島第1原発の廃炉作業の進捗状況を調査していた国際原子力機関(IAEA)調査団は「発電所の状況は、(前回調査の)2013年から大きく改善している」とする報告書を経済産業省に提出した。

 さらに、ファン・カルロス・レンティッホ調査団長は記者会見で「4号機の使用済み燃料プールからの燃料取り出しや、新たな汚染水処理システムの設置で、より安全な対応ができる状態になった」と認めた。

 IAEAは、原子力の平和的利用を目指す世界で唯一の国際機関。その調査結果は大きな意味を持つが、全国紙のうちには翌日の紙面にその報道がなかったり、そっけなくベタ記事扱いだったりしたところがあった。

 事故や故障の時は、これでもかとその不手際を言い立てる。その一方で危険性除去の営々とした取り組みやその成果に注目、評価しようとしないのでは、報道機関としていただけない。また現在、国民は原発立地の在り方に関心を高めており、それに関連した情報は逐一欲しいところ。

 例えば先日、東電は汚染水対策のために昨年6月から福島第1原発で建設中の凍土壁の建設現場を報道陣に公開した。同1~4号機建屋を「氷の壁」で囲い、地下水の流入量を減らすというものだ。

 水処理に関して、日本の技術に対する国際的な評価は高い。凍土壁の利用は賛否のあるところだが、一つの挑戦として注目していきたい。