介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯の…


 介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護する人も65歳以上の「老老介護」世帯の割合が、2012年に5割を超えた。介護する側は、体力的にもなかなか厳しい。

 先日、厚生労働省が社会保障審議会分科会で了承を得た15年度介護報酬改定案の中に、24時間体制の訪問ケアなど在宅介護を支援するサービスに報酬を加算する項が設けられた。老老介護の現実などを踏まえた措置だ。

 在宅介護支援では、施設に通う「デイサービス」や短期間入所する「ショートステイ」が定着している。これは被介護者の機能訓練や仲間との交流のために利用される。

 その一方、介護する家族が気分転換に旅行をしたり、所用で家を空けたりする時に被介護者を預けるためのものでもある。介護に忙殺され、振り回されないようにするには、こうした支援をうまく利用し、自分たちの生活をコントロールすることが大切だ。

 05年に100歳で亡くなった作家・丹羽文雄さんを自宅で介護した娘の故・本田桂子さんが「“ケアする人のためのケア”こそ重要」と話し、介護する側のストレス解消を訴えていた。こうした課題の克服が急務となっている。「ショートステイ」の期間、利用法などにもっと柔軟性を持たせ、支援を充実させる必要がある。

 同改定案では、在宅介護する人たちを援護する介護職員の待遇改善も打ち出した。今後、並行して職員の質的向上のための教育も求めたい。