英国の民放ITVが制作し世界的なヒット番組…


 英国の民放ITVが制作し世界的なヒット番組となった「ダウントン・アビー2~華麗なる英国貴族の館~」がNHKで放送されている。伯爵家の相続問題とそれに絡むサイドストーリーの面白さもさることながら、宏壮な館を舞台にした華やかな貴族の世界を垣間見ることができる。

 撮影舞台となっているのはハンプシャー州のハイクレア城だが、こういう貴族の館は英国にたくさんある。コッツウォルズ地方にあるウィンストン・チャーチルが誕生したブレナム宮殿はその代表格。豪壮な建物と広大な庭園は世界遺産に登録されている。

 これら立派な館を見るたびに思うのは、英国貴族の威勢の大きさである。一方でその上に立つ王室のバッキンガム宮殿は、王宮としては意外と地味だ。こんなところに王室と貴族の力関係、「君臨すれども統治せず」という立憲君主制が象徴されているのだろう。

 今年は、英国でマグナカルタ(大憲章)が制定されて800年に当たる。法の支配や近代民主主義の発展に重要な役割を果たしたこの文書を記念する行事が行われる。

 制定は、貴族たちが自分たちの権利を守るために王権を制限することが主眼であったようだ。ダウントン・アビーの屋敷を見ると、その感を強くする。

 大憲章には、教会の自由、自由人の権利の保障なども記されている。議会制民主主義の祖国に今も貴族階級が存在する理由も、このあたりにあるのかもしれない。