中国浙江省の義烏市とスペインのマドリード…


 中国浙江省の義烏市とスペインのマドリードを結ぶコンテナ列車の運行が昨年11月に始まった。カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、フランスを通過する長距離列車で、中国は「21世紀のシルクロード」とうたう。

 西側では「どれほどの経済利益アリや」といぶかる向きもあるが、東アジアと欧州をつなぐ地域でのインフラ整備投資を展開するための布石だ。“シルクロード復活”にちなむ歌舞団が結成され巡回するなど国を挙げてキャンペーンを行っている。

 既に昨年末、中国企業が欧州で初めて手掛けたインフラと言われるセルビア・ベオグラードのドナウ川大橋の落成式典が開かれた。ただ、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島の橋建設計画への中国企業参加については不透明だ。

 中国のインフラ建設技術はどれほどの水準か。先週都内で行われたシンポジウム「中央アジア・コーカサスとウクライナ危機」(主催・貿易研修センター)に出席した茅原郁生・拓殖大学名誉教授に聞くと「そこそこの技術はあるし、中国人の建設労働者が大挙して工事に従事し、その後当地に居着くことさえある」と。

 また、中国国内の人権問題で投資を拒否する国が出る可能性については「少なくとも中国自身は『やり玉に挙げられることはない』と決めてかかり西に活路を求めている」と言う。

 超大国を目指す中国の長期戦略について日本は厳しい認識が必要だ。