フランスの風刺週刊紙の本社がテロリストに…


 フランスの風刺週刊紙の本社がテロリストによって銃撃され、12人が死亡した事件の衝撃が広まっている。言論・表現の自由に対する野蛮な攻撃を断じて許すことはできないし、それに怯(ひる)んではならない。

 一方この事件の一報に接し、とうとう起きたかとも思った。パリ在住ジャーナリスト・安部雅延氏が毎週、最新のフランス事情を伝える「サンデー世界日報」のコラム「フランスの街角から」に昨年11月、「聖戦主義に共鳴する若者たち」が載った。

 それによると、「聖戦」に加わるため欧州からイラクやシリアへ向かう者のうち、フランス国籍者が最も多い。中には15歳の少女もおり、兵士のリクルートに際しては「イスラム聖戦主義」は楽しい運動だとのアプローチだったという。

 さらに「聖戦」に参加するのは、格差や差別に苦しむ移民系の若者だけではなく、白人にも広がっているらしい。安部氏は弟が「聖戦」に加わっている白人の友人の次のような言葉を伝えている。「弟は日頃から何も考えず、戦闘ゲームが好きでその影響もあったのかもしれない」。

 今回の事件の犯人は、プロのテロリストのようである半面、子供っぽいところも見受けられ、同コラムが伝える状況と重なる面がある。

 宗教の尊厳に対し敬意を欠くのはどうかという問題もあるが、尊厳を守る戦いは言論表現を通してすべきであろう。そういう近代社会のルールを教えるのが教育の役割である。