日本の半導体事業にかつての輝きはないが…
日本の半導体事業にかつての輝きはないが、昨年末に東芝が半導体の新工場建設を検討しているというニュースが入った。2017年度の稼働を目指すという。
製造するのは東芝が開発した「NAND型フラッシュメモリー」で、スマホやタブレット型多機能携帯端末などに内蔵され、データ記録に使われている半導体。営業利益の3分の2に当たる2000億円を上げる稼ぎ頭だ。
今後も磁気ディスクに代わって精密機器のデータ保存・運搬などにこのチップが利用されると見込んだ投資だろう。今の日本で競争力を持つ半導体事業はこの他2、3しかないが、産業界活性化のためにうれしい話題だ。
わが国では1970~80年代、各メーカーがコンピューターなどに使用される半導体メモリーであるDRAMに目をつけ技術開発に勤しんだ。結果、コンピューター産業を中心にハイテク王国の名を馳せることに。
しかしその後は半導体技術の方向を見いだせず、新興国の追い上げに屈してしまった経緯がある。半導体も、それが使用されるコンピューターのような製品の想定なしには、その機能を生かせないのだ。
今、世界的に情報通信技術の未来予想はますます難しくなり、先進国は汎用性を持つ制御技術の開発にしのぎを削る。わが国は宇宙ステーションの実験場でもその可能性を探っているが、半導体と宇宙産業のタイアップで新技術の光を見いだすことを期待したい。