東京・神田で、恒例の「神田古本祭り」始まる


 東京・神田の古書店街は、世界一の規模を誇る。ここで恒例の「神田古本祭り」がきょうから始まる。今や東京の秋の名物となったこの催し、掘り出し物を求めて全国から本好きが集まってくる。

 東京には神田の他に、本郷と早稲田にまとまった古書店街がある。東大キャンパスに近い本郷古書店街は、学術専門書を扱う店が中心。早稲田の方は、文学や政治関係の本の店が多い。月に1度、早稲田古書店合同で古書市を高田馬場駅近くのビルで開いている。

 以前、本郷のある古書店に寄った時、話好きの女性店主が「最近は東大生もあまり本を読まなくなった」と嘆いていた。本郷の古書店の数も以前と比べると半分近くになり、代わりに洒落たイタリアン・レストランなどが建ったりしている。

 店主によると、昔は理系の学生でも仏教書や思想書を買っていったが、最近は自分の専門の本だけだ。知的スケールが小さくなっているということか。長く古書店を営んできた人の話だけに、ちょっと気になる。

 インターネットの普及が、若い人の本離れに拍車を掛けているという。しかしネット情報は便利だが、物事を深く掘り下げ、体系的に理解するのには限界がある。

 長いデフレの影響もあってか、古書の価格は一頃と比べると驚くほど安くなっている。いい本が極めて安い値段で売られている。学生の小遣いでも十分賄える。青年よ、書を探しに街に出よう。