来年のNHK大河ドラマは「軍師官兵衛」。…


 来年のNHK大河ドラマは「軍師官兵衛」。豊臣秀吉の側近、黒田官兵衛を描く。ドラマを当て込んだ本も多く出版されている。この種の「当て込み本」は、昔はあまりなかったが、最近はよく見られるようになった。

 官兵衛は伝説の多い人物だ。本能寺の変で織田信長の死を知った官兵衛が「これでご運が開けますね」と秀吉に向かって言った、と岡谷繁実著『名将言行録』にはある。

 この本は明治2年成立のもので、虚実不明の点も多い。それでも1251点もの史料を使って書かれたものだけに、単なる歴史小説と同列に考えるわけにはいかない。

 次のようなエピソードも記されている。ある日秀吉は近臣に向かって「私の死後、天下を継ぐ者はだれか?」とたずねた。徳川家康、前田利家、毛利輝元らの名を挙げる者が多かったが、秀吉は官兵衛と答えた。秀吉が自分を恐れていることを聞き知った官兵衛は出家し、如水と号した。

 渡邊大門著『黒田官兵衛』(講談社現代新書)によれば、死の近いことを悟った官兵衛は、家臣をむやみにどなりつけた。嫡男長政が事情をたずねると、自分が嫌われることで、長政後継の機運が高まることを願ってのこと、との回答。

 辞世は「思ひおく言の葉なくてつひに行く道は迷はでなるにまかせて」。「あの世への道に迷うことはないだろう。なるようになるだろうから」という、いかにも「如水」らしい心境が浮かんでくる。享年59歳。