本と旅する 本を旅する、きょうから読書週間


 「辞書閉ぢて音の重さや秋灯下」(水本みつ子)。きょうから11月9日まで第67回読書週間。標語は「本と旅する 本を旅する」。旅行に本を持参し、そして本の中で知的な旅を、ということだろう。いかにも読書週間にふさわしいが、ふと疑問も。

 本は、かさばり重量がある。旅行に持って行くとしたら、カバンに詰め込めるのはせいぜい数冊だろう。文庫本でも5~6冊がいいところ。本と旅するとすれば、肩こりを覚悟しなければならない。

 いやいや、これはスマートフォンやタブレットなどで読む電子書籍を想定したもの。電子書籍ならば数百冊でも重くはない。カバンに入れても邪魔にならない。旅のお供には最適――という声が聞こえそう。

 しかし、旅先で液晶画面を見ながらの読書も何だか味気ないというアナログ派の声も無視できない。不便だからこそ旅の醍醐味があると天の邪鬼はささやく。

 では、標語の後半の「本を旅する」の方は……。一冊の本には、どれほどの世界が広がっているのか、それはページをめくってみなければ分からない。一冊の本によって実際に人生が変わる人だっている。時には本との出合いは、人との出会いにも勝る。

 学徒出陣した若者たちが、ひそかに背嚢に忍ばせた一冊。どれほど慰めになったことか。さて、旅に持って行くとしたら何を選ぶか。迷わない人はいないだろう。まさに「たかが本、されど本」である。