「景気回復、この道しかない」とアベノミクス…
「景気回復、この道しかない」とアベノミクスへの支持を訴えた自民党、安倍晋三政権が衆院選で圧勝した。内憂外患の状況が続く中、国民の負託を受けた安倍政権には、思い切り知恵を絞って経綸(けいりん)に力を発揮してほしい。
ただし注文もある。「自民党政権公約2014」で文字通り、民需主導の成長軌道に乗った社会の姿をイメージし経済、福祉、生活、環境などあらゆる分野で目指すところを述べ、選挙戦でも強調した。
そこには、ややもすると経済再生こそすべてという姿勢が見られ、政治は万能だというおごりが感じられた。地に足の着いた政治、国民生活への目線、対話を忘れてはいけない。政治の上滑りは要警戒だ。
安倍政権は企業収益の改善を賃金上昇や消費拡大につなげる「経済の好循環」を実現するため、財界に働き掛け賃金アップをかなえさせた。民主党政権ではできないことだったろう。しかし、これだけで安倍政権は財界や企業に大きな影響力を持っているとは言い難い。
日本では1980年代、ハイテク産業が発展した。産業政策を国が決定し、政治がリーダーシップを取り、政府と企業が情報を共有した。政界と財界、企業が両輪となって経済を成長させた。
時代と環境が違うから、両者のこういう密接な関係は望めないかもしれないが、世界に誇れる日本独自の社会像を描くことが必要だ。それが少子化克服、地方創生、女性の活躍にもつながる。