「街師走何を買つてもむだづかひ」(稲畑汀子)…


 「街師走何を買つてもむだづかひ」(稲畑汀子)。12月というよりも、師走と呼ぶ方がしっくりくるのがこの時期だ。走るほど忙しい坊さんではないが、何となく気ぜわしいのも不思議である。

 稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』によれば、師走は「陰暦12月の異称であるが、陽暦の12月にもそのまま使われている。単に12月というよりも、年の瀬の慌ただしさが感じられる」となっている。確かに12月だと無味乾燥だが、漢字の「師走」だと慌ただしさが光景として見えてくる気がする。

 漢字はそれだけ具体的なイメージを喚起するものである。今年の世相を1文字で表す漢字には「税」が選ばれた。小紙の記事には「消費税が17年ぶりに上がり、日用品の買いだめや高額商品の駆け込み消費が増えたことなどを反映した」とある。

 それだけ「税」への国民の関心が高いからだろうと考えられるが、実際にはそうとも言い切れないようだ。というのは、応募数16万7613票のうち「税」が獲得したのは8679票とそれほど多くはないからである。

 「税」のほかには「熱」「嘘」「災」「雪」「泣」が続いている。だが「税」が1位になってしまうと、それが一年を象徴する漢字に見えてしまうから不思議だ。

 きょうは衆議院選挙の投票日である。それこそ「税」がキーワードの一つだ。いずれにしても、われわれの一票が日本の将来を決めるので、おろそかにはできない。