オーストラリアで開かれた20カ国・地域…


 オーストラリアで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議で、エボラ出血熱について、成功した治療例の情報共有や医療従事者に対する安全な環境の提供、研修などを進めることで一致した。

 米国のVOAニュースによると、シエラレオネでは大学の教室が感染者の病室に使われている。地域によっては陽性かどうか判断できる診療施設もなく、具合の悪い人がエボラ熱感染者と一緒にされ入院しているという。

 感染が集中する西アフリカ3国の状況について「もはや単なる病気の問題を超えている。経済、治安、そして食料の問題になっている」という国連世界食糧計画(WFP)のラスムソン事務局次長の見解もある。

 これらの国では、食料の輸送経路の確保から始まって、感染拡大防止を軸に人々の日常活動をどう規制するかなどきめ細かい対策に追われているようだ。現場の状況は困難を極めていると言えよう。

 根本的な解決へ至る道はなかなか見えてこないのが実情だ。地球規模での医療技術の平準化へ展望を開いていかないと、こうした難しい病気との戦いが今後も続くことは想像に難くない。

 今回、G20首脳がエボラ熱対策で協調を確認したのは初めて。各国がいよいよ足元に押し寄せてきたエボラ熱に脅威を感じ、ようやく連帯を表明した感も否めないが、採択した緊急声明の内容を早急に実行し、国際社会の英知を示す必要がある。