書店で『哀しき半島国家 韓国の結末』…


 書店で『哀しき半島国家 韓国の結末』(PHP新書)という新刊本のタイトルを目にした時は、また新しい嫌韓本かと思った。しかし、「『伝説の外交官』が冷徹な眼で描いた日本の国益に資する真の韓国論!」という帯の宣伝文句に釣られ読んでみた。

 著者はイラク公使などを歴任した元外交官、宮家邦彦氏。北東アジアの歴史を地政学的観点から振り返り、韓半島の将来を占い、さらに日本がとるべき戦略を冷静に論じたものだ。

 詳しい内容については同書を読んでもらうとして、単なる感情論と異なることは、終章のタイトル「韓国主導の半島統一を強く支持せよ」が示している。

 著者は今後10~20年後の韓半島で起こりうる事態、北朝鮮のソフトランディングから急激な体制崩壊まで、あらゆるケースを想定し、全部で24のシナリオを提示している。

 シナリオが24にもなるのは、中国が強大化し統一を維持する場合、民族問題などで分裂し弱体化する場合など大陸と半島の情勢を組み合わせてシミュレートしたから。歴史的に韓半島が中国とくに満州地域の情勢の影響を強く受けてきたことを踏まえたものだ。

 人民や少数民族、宗教を抑圧するこの2国の現在の体制が長続きするとは思えない。ならば日本は今から、それに対する準備をする必要がある。リーダーなら、少なくとも様々なケースを想定しての「頭の体操」はやっておくべきだ。