大学入試では、制度の変更や倍率の高低…
大学入試では、制度の変更や倍率の高低などが話題になることはあるが、作問者の側が取り上げられることは少ない。こうした中、書評紙「週刊読書人」(11月7日号)が、長年受験産業に関わってきた稲田義智氏へのインタビューを載せている。
一例が記述の問題(一橋大学)について。超難問だが、大学側は解答例を出さない。出題するのは勝手だとしても、その大学を落ちた受験生のためにも解答例を示すべき、というのが稲田氏の立場だ。予備校などからの批判を避けるために出さないのだろうが、改善の余地があろう。
入試に関するミスを認める大学と認めない大学がある。慶応、上智は決して認めない。早稲田は学部によってバラバラ。学部の独自性が強いのだろう。
「この屏風がなぜ日本で制作されたのか」という問題(千葉大学)。あまりの珍問なので、稲田氏が屏風を所蔵する美術館に訊ねたところ「定説はない」との回答。あれこれ推測して答えればいいのだろうが、出題の意図は不明だ。
受験生の一生を左右しかねない大学入試の問題が必ずしも適正でないのは、大学教員にとって作問が業績になるわけでもない押しつけ仕事と位置付けられているため、と稲田氏は結論している。
中には、東大のように気合を入れて問題作成に取り組んでいるケースもある。「東大はいい問題が多い」という指摘は、好ましい例を示していて心強い。